競泳の池江璃花子選手が白血病と診断されたという報道に接し、「まさか」と思いました。同時に、東京五輪に向けた希望と充実の日々が、一夜にして難病克服に向けた不安と試練の日々に暗転した18歳の心情を思うと、あまりに気の毒で言葉になりません。今は治療に専念して頂き、一日も早く健康が回復することを祈るのみです。

そうした中、櫻田五輪担当大臣は、池江選手のことを気遣いつつも「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしている」「盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」という発言をしました。池江選手本人を大切に考えるのではなく、金メダルの道具、東京五輪の盛り上がりの手段と考えている姿勢が表れています。

オリンピックの憲法ともいうべき「五輪憲章」の根本原則には、「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てる」ことが五輪の目的だと書かれています。「人間の尊厳」を最優先に考える五輪憲章を櫻田大臣は理解しているのか疑問に思い、13日の予算委員会で尋ねたところ「(五輪憲章につき)話には聞いておりますが、自分では読んでいません」と驚きの答弁。

大臣就任直後ならいざ知らず、就任から4か月以上も経ってこの有り様です。五輪担当大臣が五輪憲章を読まず、五輪の根本的な哲学や理念も分かっていないのであれば、大臣の務めは果たせません。このことを指摘し、櫻田大臣に辞任を求めても「職務を全うしたい」としか答えません。職務を理解していない人に職務が務まるわけがありません。

任命権者である安倍首相にも「櫻田大臣を続投させていいのか」と迫りましたが、①文部科学副大臣として五輪招致に尽力した、②今回の発言について撤回、謝罪した、という理由で「職責を果たしてもらいたい」との答弁でした。

 しかし、櫻田氏が文部科学副大臣に就任したのは五輪招致が決まった後で、①は事実誤認です。また、私が辞任すべき理由として挙げたのは、櫻田氏の発言ではなく五輪担当でありながら五輪憲章すら読まず、五輪の根本原則を理解していないことです。②は話をすり替え、矮小化しています。二人の答弁の方こそ、「がっかり」です。