5日、衆院予算委員会で質疑に立ちました。安倍政権が今年10月の消費増税対策の一つに挙げている、「9か月に限り、中小事業者へのキャッシュレスでの支払いについて、5%のポイント還元(大手のフランチャイズ加盟店では2%)を推進するため、総額約4千億円の補助金を出す」ことについて、安倍首相に以下の四つの危険を指摘しました。

①「税収レス」の危険~予算が4千億で留まる保証はありません。大企業が対象店で備品などを大量に購入しても5%還元があるからです。ある有識者は2~3兆円かかるかもしれないと見ています。社会保障の安定、充実のための税収が消えてしまう危険があります。

②「消費レス」の危険~5%のポイント還元を受けている間は、消費税が10%に上がっても消費者の実質的な負担は5%で済みます。しかし、9か月後に元に戻れば消費者の負担は5%から10%へと一気に倍増します。その影響で消費が激減する危険があります。

③「ホームレス」の危険~キャッシュレスの方法の一つに、クレジットカードでの支払いがあります。現金と異なり自分の支払能力を超えて買い物をし、カード会社などへの支払いが滞って自己破産し、家まで失う危険があります。

④「恩恵レス」の危険~個人経営の高級料亭は5%のポイント還元の対象となりますが、大手ファミリーレストランは対象となりません。また、買い物に現金しか使わない人も対象外です。恩恵が高所得者に偏り、恩恵の及ばない人が多くなる危険があります。

こうした危険のない、正しいキャッシュレス普及策の例として、私は、千葉県木更津市が地元の信用組合と協力して始めた、電子地域通貨「アクアコイン」を取り上げました。

利用者は、スマホがあれば簡単に現金を「アクアコイン」に両替し、市内の加盟店で買い物ができます。支払いは、加盟店のレジ近くに掲示された「QRコード」という暗号を自分のスマホで読み取り、その画面上で代金を入力するだけ。4月からは、利用者は両替の際のポイント還元に加え、市が指定する活動への参加でもポイントがもらえる予定です。

このやり方なら、導入、利用の際の自治体や事業者の経費は少なくて済みます。税収レス、消費レス、ホームレス、恩恵レスとも無縁です。地域の消費拡大と公益増進にも役立ちます。「国は、こうした取組みへの支援を強化するべきではないか」と安倍首相に迫ったところ、「このようにさまざまなご提案を頂いたことには敬意を表したい」と意外な答弁。敬意より、首相が翻意し、危険なポイント還元策を撤回することを望みます。