先の臨時国会で強行採決された「入管法改正案」。本来法律で定めるべき重要事項が国会閉会後に政府内で決められました。その内容が明らかになったため、18日、国民民主党の「外国人労働者の受け入れ制度に関するプロジェクトチーム」において、法務省などから説明を受けました。

政府は、今年4月以降の5年間に14業種で約34万人を上限として外国人材を受け入れる方針とのことですが、この数字は地域ごとの需要を調査して積み上げたものではなく計算根拠があいまいです。また、新たな試験制度を作って「特定技能」という在留資格にふさわしい人材を選ぶとのことですが、業種によっては実技試験をせずに筆記試験だけで済ませるため、形だけの試験になりかねません。

さらに、「特定技能」資格を持つ外国人は同業他社に転職することも可能なため、外国人が待遇のいい大都市圏に集中して地方圏の人手不足は解消しないおそれもあります。これに関し、政府は「必要な措置を講じるよう努める」としていますが、業種ごとの対応方針を見ても「必要な措置」として効果的と思えるものは見当たりません。

「外国人が大量に流入して日本人の雇用に悪影響が及ぶことはない」、「相当程度の知識や経験を持つ人材だけを受け入れる」、「地方の人手不足を解消する」などと政府は説明してきましたが、不安と疑問の募る内容でした。

この問題に関し、通常国会の開会前の23日に異例の法務委員会が開かれます。その前に現状を把握するべく、21日、フィリピンから継続的に多くの技能実習生を受け入れて乳牛を飼育している岩手町の酪農家を訪ねました。そこには実習生用に建てられた立派な集合住宅がありました。みんなでバーベキューパーティをしたり、女性に日本の着物を体験させたり、家族と同様に接しているとのこと。実習を終えて本国に戻った元実習生から、結婚式に招待されることもあるそうです。もちろん実習中に失踪する外国人はいません。

新制度が始まっても、外国人との間に信頼関係があれば、多少待遇がいいからといって大都市に流出することはないだろうというお話でした。同時に、①来日する際に重い借金を背負わないで済むようにする、②外国人が職場だけでなく住む地域にも愛着を持ってもらう、③定期的に帰国して家族に会えるようにする、ことも重要とのご指摘を頂きました。

今回の視察を参考にしつつ、日本に来た外国人が自分の職場と地域を単なる「出稼ぎ先」ではなく、「第二のふるさと」と思ってくれる制度とすることを目指し、国会審議に臨みます。