臨時国会最終日の10日、衆院憲法審査会の幹事懇談会が開催されました。日本民間放送連盟(民放連)から国民投票に関するCM規制への見解を聴くためです。

CM規制はなぜ必要なのでしょうか。将来、憲法改正の国民投票が行われる場合、賛成者、反対者を増やすためテレビ、ラジオのCMを利用しようとする団体等が現れます。CMは視聴者の思考よりも印象に訴え、行動を促しやすいものです。そのような効果を狙って極端なCMが大量に流されると、国民投票の結果に好ましくない影響を与えます。

そこでCM規制が必要となりますが、国会が作る法律で規制するか民放連の自主規制に委ねるかが次に問題となります。11年前に国民投票法が制定された際、民放連は、CMの量の規制などについて「自主規制はできます。やらなければならない」と国会で答弁しました。これを受けて国会は、法律による規制は最小限とし、民放連の自主規制を待ってきました。

しかし、いっこうに自主規制を作る気配がなかったため、前国会で私を含め与野党の幹事から検討を急ぐように求め、その結果を聴く場が今回の幹事懇談会でした。民放連からは前回と同じく永原専務と田嶋番組・著作権部長が出席し、冒頭で「CM量の自主規制は行わない」との結論を述べました。自主規制は、「表現の自由・・・を不当に侵害しないように留意しなければならない」とする国民投票法第100条に反するからだというのです。11年前の答弁を根本から覆す驚くべき発言でした。

私から、「民放連として『表現の自由』を重視するのなら、なるべく多くの団体や企業がCMを利用した「表現の自由」を行使できるようにすべきだ。特定の団体や企業がCMの枠を買い占めて放送することを防ぐための規制が必要ではないか」と質問したところ、民放連は、「表現の自由」には一切触れず、「買占めの事態は想定していない」と断言しました。

「なぜそう言えるのか」とさらに尋ねると、「国民投票のCM以外の普通のCMに割り当てられる時間が多いからだ」と論点をずらしてきました。問題なのは、国民投票のCM枠を特定の団体等が買い占めて他の団体等がその枠を使えなくなることです。CM枠の全部の買占めができるかどうかを問題にしていません。安倍首相をはじめ大臣の国会答弁に対しては、「ごまかし」「ご飯論法」などと普段批判する民間放送も、実態は似たようなものです。

守りたいのは国民の「表現の自由」より、自分たちの「営業の自由」なのでしょう。国民民主党では、資金力の多い団体等がCM枠を買い占めて国民投票に悪影響を与えることがないよう「国民投票法改正案」を提案しています。その必要性が改めて浮き彫りになりました。