29日、国民民主党など野党6会派が反対する中、衆議院の憲法審査会が異例の開催。私は、憲法審査会の開催の時期、内容を決める幹事の一人です。また、国民民主党の憲法調査会長として、憲法改正の国民投票の公正を確保するべく、テレビ・ラジオCMやインターネットでの投票勧誘や意見表明を適正化する「国民投票法改正案」をまとめてきました。

この法案を与野党で議論するため憲法審査会を円満に開きたいと、かねてから考えていました。一時そのような機運もありましたが、9条改正などを含む自民党の改憲案を提示したいという安倍首相の指示なのか、忖度なのか。自民党はあまりに非常識なやり方で憲法審査会の早期開催を企て、ついに私たちの反対意見を無視して強行開催したのです。

非常識その1~自民党の憲法改正推進本部長を務める下村博文代議士は、憲法審査会を早く開催しようとして、これに慎重な一部野党に対して「職場放棄」と批判しました。国会議員が憲法改正を目指して活動することは自由ですが、憲法99条により、国会議員は憲法尊重擁護義務も負っています。憲法改正に与しない自由も国会議員には認められているのです。これを無視した下村氏の発言は、憲法を理解しない極めて非常識なものです。

非常識その2~先月21日の午後2時半ころ、私は、外国人材の受入れのための入管法改正案について法務委員会で質疑を行っていました。しかし、自民党の幹事は、ちょうどその時間帯に翌日の憲法審査会の開催を協議する幹事団の会合を企画したのです。大切な質疑を「職場放棄」して私に出席せよというのでしょうか。私からも強く抗議し、翌日の開催こそ見送られましたが、あまりに姑息で非常識なやり方です。

非常識その3~27日には、たった17時間の質疑で入管法改正案が衆議院で強行採決されました。この法案は審議入りの本会議で首相が答弁した「重要広範議案」です。審議終了前にも首相が委員会で答弁するのが国会の常識です。しかし、今回は首相の外遊の都合が優先され、私たちの要求にもかかわらず安倍首相は法務委員会に出席しませんでした。憲法63条により、首相は答弁のため出席を求められたときは、衆議院の会議に出席しなければなりません。これに反する究極の「職場放棄」を首相に許しつつ、その翌日に何事もなかったかのように憲法審査会開催を一方的に決めたのです。実に身勝手で非常識です。

法務委員会でも、与党側は、入管法改正案の審議中は国会のルールに反して連日開催していたにもかかわらず、衆議院を通過したとたん一切開催に応じなくなりました。これも非常識であり、明らかな「職場放棄」です。憲法審査会を正常化したいのであれば、まず政府・与党の方が常識を取り戻し、「職場放棄」をやめるべきです。