2日、国民民主党のトップバッターとして衆議院予算委員会で質疑に立ちました。我が党の憲法調査会長として、憲法改正について、安倍首相が所信表明演説や代表質問の答弁で述べてきたことの矛盾点を指摘、追及しました。

第一に、憲法改正を発議するかどうかは国会の権限なのに首相は積極的に口を出します。その理由を尋ねると、首相が国会に出席して政治上の見解や行政上の事項につき議論を呼びかけることは憲法67条などで認められているからだとします。「ならば、被災者が早期に住宅を再建できるようにするための支援制度の拡充や、森友・加計問題の真相解明のために昭恵夫人や加計理事長を国会に招致することも呼びかけるべきではないか」と追及すると、「国会でお決めになること」と言って口をつぐむ。これこそまさにご都合主義です。

第二に、首相は、所信表明で原敬総理の「常に民意のあるところを考察すべし」という言葉を引用しました。NHK世論調査では憲法改正より社会保障や経済対策など他の政治課題を優先すべきという方が圧倒的に多いという結果が出ています。民意を考察するなら憲法改正を急ぐべきではないとの私の問いかけに対し、最後に決めるのは国民投票だから問題ないとの答弁でした。国民の関心が高まらないのに、権力者の都合に合わせて憲法改正の国民投票を実施するのは、民意の「考察」ではなく「軽視」です。

第三に、自民党の憲法9条改正案には、「必要な自衛の措置をとることを妨げず」とあり、集団的自衛権を無制限に行使できるように読めます。「安倍首相は『自衛隊の任務や権限に変更が生じることはない』と述べてきたが、これはうそではないか」と問い質しました。

国会中継の視聴者から、自分がうそつきだと思われたくなかったのでしょうか。安倍首相は、自分の考える9条改正案では自衛隊の任務や権限に変更が生じることはないが、自民党の案についてはコメントする立場にない旨、苦し紛れに長々と答えました。そこで私から「首相の考えている案と自民党案は違うので、自民党案にはコメントしないという趣旨か」と確認すると「そういう趣旨だ」と答弁。自民党の総裁である安倍首相の考えと自民党の9条改正案は異なるという重要事実が判明しました。

安倍首相は憲法改正につき、国会での審議の進め方に口を出し、民意が望んでもいないのに先を急いできました。にもかかわらず、自民党が国会に提示しようとする9条改正案は、首相の考えとは違うというのです。結局、安倍首相は憲法改正の中身にこだわりはなく、何でもいいから早く改正したいというのが本音です。そのための国民投票に800億円以上も使うお金があるなら、被災者支援をはじめ、国民が現在必要とすることに使うべきです。