22日、国民民主党の東日本大震災復興・原発事故対策本部のメンバーで岩手県の一関市、陸前高田市と宮城県の気仙沼市に伺いました。今回の視察の目的は、放射能で汚染されたしいたけや牧草などの処理状況、民間に払い下げられた仮設商店街の運営状況、設備が復旧した水産加工業者の経営状況などにつき、現地で生の声を聴くことでした。

まず一関市では、原木しいたけ栽培を大規模に行ってきた農家に伺いました。汚染された表土や原木が人手不足で運び出せないため、今でも何箇所かにまとめて裏山に山積みにされています。今後の除去費用や風評被害による利益減少を補うため、東京電力に損害賠償を請求しているが速やかに対応してくれないという苦情をお聴きしました。

また、しいたけ以外にも牧草や稲わらなどの放射性廃棄物を一般ゴミと混ぜて焼却を進めている廃棄物処理場を視察しました。汚染濃度の検査などでかなりの手間がかかるだけでなく、一定以上の濃度のものは焼却の目途が立たない状況でした。

次に陸前高田市では、15区画からなる仮設店舗の払下げを受け、自ら飲食店を営むほかNPOなどに低い賃料で貸し出している方にお会いしました。市から無償で払下げは受けられたものの、土地の賃借料、維持管理費などで月に70万円ほどの出費になるそうです。物件の評価額が所得とみなされることによる課税や、固定資産税の負担も相当な金額に上り、資金繰りに困っている様子でした。

さらに気仙沼市では、同市と隣の陸前高田市にあった約20か所の水産加工場を津波で失いながら、民主党政権で創設した補助金などを使って復活した水産加工会社にお邪魔しました。気仙沼市では60歳以上の人口比率が50%近くと働き手が不足。加えて、介護施設の入居待ちが200人以上で介護のため働けない人も多くいるとのこと。すでにミャンマーなどから技能実習生を40人(全従業員の2割)受け入れているが、外国人の労働力に頼らざるを得ないという、経営者の方のお話でした。

震災から7年7か月が経ちましたが、「復興の盲点」ともいうべき、被災者の生活や仕事の再建を進める上での課題がまだまだあります。こうした盲点をなくするため、常に現場の担当者の声を大事にし、迅速に対応していたのが今は亡き仙谷由人元官房長官でした。

震災直後は官房副長官として被災者支援を担当。政府首脳の大半が原発事故への対応に忙殺される中、私にもこまめに連絡を頂き、岩手県の要望を丁寧に聴いて頂きました。仙谷先生が心を砕いた「被災者のための復興」を成し遂げ、墓前に報告したいと思っています。