27日、西日本豪雨で大きな被害を受けた岡山市を訪ねました。堤防の決壊により1500件以上が床上浸水となった地域に伺い、被災した方々をお見舞いしました。印象的だったのは、台風が接近中だったこともあり、住居や生活への支援を求める声だけでなく、再発防止を求める声が多かったことです。

氾濫した「砂川」は普段は水の量が少なく、土砂が堆積して中州になった場所には、木が何本も生い茂っていました。今回の豪雨で水かさが増した際、こうした木々が流れを遮ってしまい、被害を拡大させたようです。

現地では、「壊れた堤防を直すだけではダメだ。木を伐採して再発を防いで欲しい」といったご意見を伺いました。今回案内して頂いた地元の津村啓介代議士を通じ、河川の管理者である岡山県などに働きかけることにしました。

自然災害だけでなく組織の不祥事についても、原因を解明してそれを取り除く方法を取らなければ、問題の根本的解決とはならず、再発防止にもつながりません。森友学園への土地売却に関する決裁文書の改ざん事件などを受け、政府は20日に「再発防止策」を決めましたが、これなどまさしくそうです。

そもそもなぜ決裁文書の改ざんという前代未聞の不祥事が起きたのか、いまだに真相は明らかにされていません。「再発防止策」では、文書改ざんや隠ぺいといった悪質な行為があった場合には、懲戒免職もありうるとされましたが、これでは問題の再発を防げないと思います。懲戒免職にするかどうかは、問題を起こした職員の任命権者が決めるからです。

例えば財務省の幹部が文書を改ざんしたら財務大臣が処分を決めることになりますが、財務大臣の指示で改ざんが行われた場合、厳しい処分ができるとは到底思えません。今回も財務大臣や首相周辺が関与した疑いが消えていない以上、「再発防止策」として全く不十分です。私は、25日の「プライムニュース」で、「身内が行う懲戒処分は実効性がない。文書改ざんがあった場合は、明確に刑事罰の対象となるように法律を改正すべきだ」と主張しました。

安倍首相も事件直後は「法改正も含めて検討する」と国会で答弁していましたが、結局法律の改正案は示されず、国会で議論する場も与えません。おまけに、先に懲戒処分を受けた財務省の幹部の中には、27日の人事で栄転した者さえいます。形ばかりの「再発防止策」で堤防を直したつもりでも、根っこまで腐った木が居座り続ける以上、国民の不満は消えず信頼は取り戻せません。