4日、財務省が「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」を公表。3月12日に決裁文書に約300か所もの改ざんがあったことを認めてから3か月も経ち、その間に佐川理財局長が「ない」と言っていた土地取引の交渉記録が約1000ページもあったことが発覚したにもかかわらず、この報告書はあまりにもお粗末でした。

例えば、改ざんを行った動機について、「国会審議が相当程度紛糾するのではないかと懸念し、それを回避する」ためとしています。公文書の改ざんという犯罪に問われかねない行為をする動機になるとは思えません。麻生財務大臣も「(動機が)分かれば苦労しない」と開き直っていますが、中途半端な調査で自らの地位と政権を守ろうとする魂胆が見え見えです。財務省で起こった一連の不祥事の監督責任を取って、速やかに辞任すべきです。

さて、「官」による文書の改ざん等について、財務省がおざなりな調査しかせず、検察も具体的な理由を説明せず不起訴とする中で、政府は、「民」による文書の改ざん等を防ぐための新たな法案を提出してきました。遺言者が生前に自筆証書遺言を「遺言書保管官」なる人に預け、保管してもらう制度などを定める「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」です。

これまで自筆証書遺言は、遺言者が封をして自宅の仏壇や金庫などに保管してきましたが、これでは「相続人により遺言書の廃棄、隠匿、改ざんが行われるおそれがある」というのです。本当に「民」より「官」の方が安心と言えるのでしょうか?

私は、8日の法務委員会において、預け先である「遺言書保管官」の素性や、万一改ざんが行われた場合の罰則などについて質問しました。「遺言書保管官」には高度な専門的知識と十分な実務経験がある者を任命する、との答弁でしたが、「官」の中でも最も優秀とされてきた財務官僚ですら安易に公文書を改ざんするのですから、これだけでは安心できません。

さらに、「遺言書保管官」が改ざん等をした場合の罰則はこの法案に設けられていない、とのこと。ちなみに、通常の自筆証書遺言と異なり、遺言者は封を開けたままで「遺言書保管官」に預ける必要があります。「遺言書保管官」がその気になれば相続人より簡単に遺言書の改ざんができます。

まさに「信なくば立たず」の制度です。このような制度を政府が国民に本当に利用してもらいたいと思うなら、財務省の公文書改ざんにつき調査を尽くし、組織のトップに責任を取らせ、国民の「官」への信頼を取り戻すのが先決です。