1日、内閣委員会で「IR整備法案」に関し、質疑を行いました。IRとは、民間事業者が設置・運営するカジノと国際会議場、展示場、ホテルなどから構成される一群の施設です。

刑法ではカジノのような賭博場を開設して利益を図った者は、「賭博場開帳図利罪」で最高5年の懲役です。また、客として賭博をした者は「賭博罪」で罰せられ、常習者なら「常習賭博罪」として最高3年の懲役が科されます。

今回のIR整備法案では、IRに設けられたカジノの運営やカジノでの賭博が罪にならないようにするため、カジノの運営につき免許を受けた事業者とその客が、免許で認められた場所と方法で行う賭博関係の行為について上記の罪が成立しない旨の定めを置いています。

同じ行為なのに、IRの中のカジノで行えば無罪、IRの外のカジノで行えば有罪となるのは理不尽ですし、法の下の平等にも反するように思えます。

この点につき、政府の説明は、IR内のカジノについては①目的の公益性、②運営主体等の性格、③収益の扱い、④射幸性の程度、⑤運営主体の廉潔性、⑥運営主体の公的管理監督、⑦運営主体の財政的健全性、⑧副次的弊害の防止という観点で、他のカジノより違法性は低く、刑法が賭博罪を処罰していることと矛盾しないとします。

しかしながら、よく法案を読んでみると、免許を得た事業者が上記の八つの観点に反する悪質な行為をしたとしても、業務停止命令などを受けていなければ賭博関係の罪を問えないことになっています。日大アメフト部の悪質タックル事件のように、出場資格ある選手が試合中に行った行為であっても、ルールに反する危険な行為であれば刑法の傷害罪に問われます。今回の法案は、IRのカジノ事業者を保護し過ぎていると思います。

法案を担当する石井大臣に対し、「このような定めは削除すべきではないか」と尋ねたところ、「罪に問われない行為を明確にし、事業の安定的な運営を確保する必要がある」との答弁でした。

罪にならないことを明確にしないと客が入らず商売が成り立たない施設なら、そもそも社会的な存在意義は乏しいと思います。これ以上、ギャンブル依存症で苦しむ人たちを増やさないようにするためにも、カジノの合法化はやめるべきです。