11日、衆議院憲法審査会の幹事懇談会に初参加。17日に憲法審査会を開催し、私が国民民主党の幹事として選任されることが内定しました。憲法審査会には、国会の他の委員会とは異なり、最高法規である憲法の改正案を立案し、発議する権限が与えられています。そして、最終的に憲法改正を決めるのは18歳以上の国民による投票です。憲法審査会の議論が公正で分かりやすいものとなるよう、幹事の職責をしっかり果たしたいと思います。

さて、安倍政権は歴代政権の中でも憲法改正に最も熱心な政権に見えます。首相自ら憲法9条の改正案を主張し、自民党もそれに従って改正案を決め、憲法審査会でこの案を通して国民投票にかけたいようです。しかし憲法は、首相はじめ国務大臣に対し、「憲法を尊重し擁護する義務」(憲法99条)を課す一方、憲法改正を発議する権利を与えていません。

安倍首相は、首相としてではなく自民党総裁の立場で憲法改正を主張したと弁解しますが、国会議員も国務大臣と同じく憲法尊重擁護義務を負っていることには思いが至っていないようです。国会議員は、真に必要がある場合は憲法改正を主張できるにせよ、今ある憲法を尊重、擁護する義務をきちんと果たすことが大前提です。

この点、安倍首相をトップとする現政権は憲法尊重どころか憲法軽視の態度が際立っています。その極め付けが森友、加計、PKO日報問題で虚偽の答弁、文書の隠蔽や改ざんを行い、国会による国政調査権(憲法62条)の行使を妨害したことです。

他にも憲法軽視の例があります。憲法は、「正当な補償」なしで私有財産を公共のために用いることができないと定めます(憲法29条3項)。今国会で審議中の「森林経営管理法案」は、正当な補償をせず、所有者の同意もないのに私有林に立ち入って伐採等の作業ができるようにするもので、憲法違反のおそれがあります。

9日の法務委員会の質疑でこの問題を取り上げましたが、法案を所管する農水省からは納得できる説明がありませんでした。そこで、所有者が「正当な補償」を求める訴えを起こした場合、被告となる法務大臣に尋ねたところ、「農水省が所管する法案なので、答弁する立場にはない」と官僚的な縦割り主義の答え。

安倍政権には、憲法を尊重し、憲法に違反しない法律を作ろうという真摯な姿勢が感じられません。これでは憲法を改正しても、改正後の内容が尊重されるか疑問ですし、国民投票に多額の税金を使い、国民に改正の良し悪しを考えてもらう意味がありません。憲法を尊重する姿勢なくして、憲法改正を論じる資格はありません。