財務省では、文書改ざん問題で佐川国税庁長官が辞任したのに続き、セクハラ問題で福田事務次官が辞任しました。いずれの問題も関係者の責任を問うための調査が進められていますが、本業より犯罪的行為の後始末に追われているありさまは、財務省というより「罪務省」です。麻生財務大臣の責任は極めて重いと言わざるを得ません。

福田次官が女性記者を呼び出し、セクハラ発言をしたとされる4月4日の前日、私は、衆院財務金融委員会で、文書改ざん問題について麻生財務大臣の監督責任を問いました。

麻生大臣は自己の責任を否定し、改ざん発覚直後の3月15日に福田次官以下の幹部を部屋に呼び出し、「きちっとして全容解明をやって、かつ、今後はこういったことが起きないような対応をすることを、財務省全体として取り組むよう指示をすると同時に、若い人たちは心身ともにかなり疲弊していると思われるので、そういった負担にもよく気を配っておかないと、という話も訓示した」と誇らしげに答弁していました。

ところが、この答弁の翌日、訓示を先頭に立って聞いていたはずの福田次官が女性記者を飲食店に呼び出し、卑猥な言葉を繰り返して精神的ショックを与えたというのです。本人は疑惑を否定しつつ一週間後にようやく辞任しましたが、ただでさえ危機的状況にある財務省がさらに窮地に追い込まれました。

まともな組織であれば、トップの訓示があれば幹部以下が使命感と緊張感を持って危機の克服に当たるはずですが、財務省はまったく逆です。5年以上も財務大臣をやりながら、組織を掌握できていない麻生大臣に大臣たる資格がないことは明らかです。

今回の件で、今から8年ほど前、民主党政権の時代に政務官として公務員制度改革を担当していた頃を思い出しました。高級官僚が自分の省の利益ではなく、国益を第一に考えて仕事をする体制を作ることが当時の大きなテーマでした。そのために、各省の幹部クラス約600名の任命に首相官邸が関与できる「幹部人事の一元化」などを定めた法案を立案し、国会に提出しました。

福田次官はその作業を行う事務局の一員であり、私の部下でした。「幹部人事の一元化」の仕組みを考える際、いろいろと知恵を出してもらいました。その人物につき、省益も国益もかえりみず私的な欲求を満たした疑惑が報じられているのは、極めて残念です。と同時に、「幹部人事の一元化」の下、福田次官の任命に関与した安倍首相や菅官房長官にも任命責任を果たしてもらう必要があります。佐川長官に続き、「とかげのしっぽ切り」で済ませるわけにはいきません。