13日、衆院予算委員会で久々に安倍首相に質疑を行いました。首相はことあるごとに「東北の復興なくして日本の再生なし」と発言しますが、その本気度はどうなのか。テレビを通じて、今なお我が家を離れて避難生活を余儀なくされている多くの方々に知ってもらうべく質問に臨みました。

最初に、被災3県では復興事業が進むにつれ、人口が回復するどころか若い世代を中心に人口流出が加速していることを取り上げました。その原因を安倍首相に尋ねると、「景気がよくなると東京圏への流入が大きくなる傾向がある」「アベノミクスによる景気好転を受け、当初は増加傾向にあったが、現在は頭打ち傾向だ」と答弁。

被災3県の人口流出がアベノミクスの成果であるかのような言いぶりに、強い違和感がありました。私は、人口流出が加速した要因として、災害公営住宅の建設などが当初予定より2年ほど遅れたこと、さらにその理由は、「所有者不明の土地問題」で復興事業に必要な用地の確保に手間取ったことにあると主張。

その上で、5年前の第二次安倍政権の発足直後からこの問題を指摘し、解決策を盛り込んだ法案を国会に提出したのに、なぜ今まで対応しなかったのかと追及しましたが、「対策は喫緊の課題である」と述べたものの、安倍首相から反省の弁はありませんでした。

さらに、復興交付金の成果を示す指標としては、従来のような工事の進捗度合いではなく、人口流出が止まったかどうかを採用すべきではないかと提案しましたが、首相は当初質問の意味すら理解できておらず、復興への本気度が感じられませんでした。

また、政府が続投を考えている日銀の黒田総裁について、マイナス金利によって被災地の復興を支えている地域金融機関の経営が悪化している現状を指摘。これが続けば融資を増やすどころかリストラで被災地の支店は撤退せざるを得なくなるとして、「復興を進めるためにも、黒田総裁は更迭して新たな総裁を任命するべきではないか」と提案しましたが、

安倍首相はアベノミクスの成果を挙げ、「日銀が、物価安定目標の達成に向けて大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待している」と述べるだけで、復興への悪影響は意に介していない様子でした。

質疑を通じ、首相の本音は「東北の復興なくして日本の再生なし」というより、「東北の復興なくてもアベノミクスの継続あり」であることが明らかになりました。本末転倒です。