2日から4日にかけ、盛岡市のタカヤアリーナにおいて、男子テニス団体戦の世界的大会「デビスカップ」の1回戦が行われ、日本はイタリアに惜しくも敗れました。私も最終日に、杉田祐一選手とファビオ・フォニーニ選手の試合を途中まで観戦しました。

世界トップレベルのテニスの試合を初めて間近で見ましたが、両選手の技術、パワー、スピードの素晴らしさに目を奪われました。と同時に、フォニーニ選手が自分に不利な展開になると、中断中に杉田選手の背後からわざと体すれすれにボールを打ち込んだり、選手にタオルや試合球を渡してくれるボールボーイ(ガール)に悪態をついたり、ビデオ判定の結果が出てからも審判にしつこく抗議したりする姿にも驚きました。

試合は4時間を超える大接戦の末に、フォニーニ選手が勝利したようですが、フェアプレーという点では杉田選手がはるかに上回っていました。世界ランク22位の強豪とは言え、勝つためには何でもありという姿勢はいかがなものかと思いました。

さて、スポーツと同様、選挙という戦いにおいてもフェアプレー精神が要求されます。とくに、審判である有権者に金品を配って勝とうとすることは極めてアンフェアな行為であり、公職選挙法違反で罰せられます。茂木敏充・経済再生大臣は、地元の栃木5区の有権者に線香や手帳を配っていた問題で、野党議員から追及されています。

過去には小野寺五典・防衛大臣が有権者に線香を配ったことで書類送検され、議員辞職しています。茂木大臣は、野党の追及に対し、「線香に自分の名前を入れていない」「自分ではなく秘書が配った」「(選挙と関係なく)政党支部の活動として行った」などと言い訳をし、小野寺大臣のケースとの違いを強調します。

しかし、法律上は政治家本人が配ることは絶対条件ではありません。政党支部など政治家が役員を務める団体が行った場合でも、その政治家の「氏名を表示し」または「氏名が類推されるような方法で」配ったら違法です。つまり、秘書が線香などを配る際、茂木氏の名前が入った名刺を渡したり、茂木氏の秘書であると名乗ったりしたら通常は違法です。

また、違法かどうかとは別に、茂木氏は小野寺氏のケースを当然知っており、小野寺氏と微妙に違う方法で線香を配り、処罰を免れようとしている点でも非常に問題です。法に触れさえしなければ、選挙に勝つため有権者に金品を配ってもいいという精神が表れているからです。これぞまさしくフェアプレー精神の欠如です。この点について、茂木大臣の自覚が乏しいようなら、審判である有権者が厳しい判断を下すことになるでしょう。