22日、来年度の予算案が閣議決定され、来年の1月22日から通常国会が開かれる予定です。今年の国会で、私は、合計21回、12時間42分にわたって安倍首相をはじめとする閣僚や担当官僚に質問をしました。その内容は、「共謀罪」法案や民法改正法案など、ほとんどが政府提出の法案に関わるものでした。

政府提出の法案は、与党議員があらかじめ内容の説明を受け、問題があれば原案の修正を経て、国会に提出されます。この手続きを「事前審査」と呼びます。与党議員は事前審査で問題を指摘し改善している以上、政府提出の法案について国会で問題がないかどうかチェックするのは野党議員の役割です。

そして、なお問題があると認められる場合、与党議員は野党議員の意見を取り入れ、法案を撤回したり修正したりするのが本来の国会の姿です。今年の国会で、私は、「共謀罪」法案では犯罪が成立する範囲が広過ぎ、テロ防止と無関係に公権力が国民を監視する手段とし、冤罪も生みかねないと指摘しました。民法改正法案では、他人の借金について第三者が意に反して保証を求められる危険が残っていると指摘しました。

遺憾ながら、こうした問題は放置され、数の力で法案が成立していきました。民法改正法案では、与党議員ではなく法務省の官僚が私の事務所を訪れ、法案修正の交渉をしようとしましたが、何の権限もない官僚ではなく与党議員が国会の場で交渉を行うべきでしょう。

他方で、今年の通常国会では、①テロ対策のため一部の組織犯罪を予備段階で処罰する「組織的犯罪処罰法改正案」、②公文書の隠ぺいや無断廃棄を禁止する「公文書管理法改正案」、③「ギャンブル依存症対策基本法案」を同僚議員と立案し、国会に提出しました。

しかし、今年の通常国会は政府提出法案の審議に時間が割かれ、これらの野党提出法案の審議時間は設けられませんでした。審議の場になるかと思われた臨時国会も冒頭で解散され、すべての法案は廃案になってしまいました。与党議員は国会での質問時間を増やすことを要求します。しかし、本当に質問したいのなら、事前審査を経た政府提出法案ではなく、野党提出法案についてきちんと審議に応じ、たっぷり質問して欲しいと思います。

今年は、BS放送やラジオで合計7回ほど討論番組に出させて頂きました。政府の関係者が入らず与野党の議員だけで議論した方が、立場の違いがあっても、率直で建設的な議論ができるという印象です。来年の国会は、「疑惑が深まる国会」ではなく「議論が深まる国会」となるよう、国会審議のあり方も見直していきたいと思います。