最近、新聞、テレビなどで「所有者不明の土地問題」が話題になっています。土地の所有者が亡くなっても相続登記がされない状態が長く続いた結果、①現在の所有者の居場所や生死が分からなくなっていたり、②分かったとしても何代にもわたって相続がなされた結果、権利者が膨大な数にのぼり管理や処分が困難になったりしている状況を指します。

「所有者不明の土地」の面積を合計すると、九州と同じぐらいになるそうです。こうした土地が放置されると、市町村に固定資産税も入らなくなり地域の衰退につながります。今後、岩手などの地方部では人口が減り、地価も下落する中で、こうした土地がますます増えていく危険があります。政府もようやく問題を認識し、重い腰を上げてきました。

私がこの問題に最初に取り組んだのは、震災後に高台移転を進めていた時でした。移転先地を市町村が購入しようとしても、所有者が不明で大変な時間と労力がかかっていました。行政が迅速に復興事業を進められるよう、先日の総選挙で惜敗した岩手2区の畑こうじ元衆議院議員らと協力し、土地収用法の特例

を設ける議員立法を立案、成立させました。

震災から7年近くたって、ようやく被災地では移転先の高台やかさ上げ地の整備は進みましたが、先日伺った大槌町ではかさ上げ地に空き地が目立つ状況でした。平野町長のお話では、「後継ぎのいない御高齢の世帯では、土地があっても借金をしてまで家を建てようという気にはならないのではないか」ということでした。このまま時が経てば、せっかく整備した土地も放置され、新たな「所有者不明の土地」になりかねません。

「所有者不明の土地」の増加を防ぐ根本的な対策として以下の三つのことを行うべきです。

①所有者が不要と判断した土地については、所有権の放棄を認める。

→国が主張する「土地の所有権の放棄は、権利の濫用で許されない」という民法に反するおかしな理屈を改めさせ、国が土地の管理と有効活用を行うようにすべきです。

②土地の所有者が亡くなった場合には、その土地の登記を所管する法務局に知らせ、法務局から相続人に相続登記を促す体制を作る。

→マイナンバーを使えば、ほぼ可能です。

③以上の仕組みが整った段階で、土地の相続登記を相続人の義務とする。

→その場合、登録免許税などの費用は極力無料にするべきです。

政府も「所有者不明の土地問題」に対応するための法案を次期通常国会に提出すると聞いていますが、根本的な対策とはなりえないようです。震災復興を前進させ、「法治国家」ならぬ「放地国家」を防ぐため、希望の党でも対案を創りたいと思います。