27日、陸上自衛隊の最大規模の実弾演習である「富士総合火力演習」を視察しました。この演習は、陸上自衛隊が保有している武器、弾薬の効果と実際の戦闘行為の様子を広く知らしめるため、昭和41年以降、一般市民にも公開されています。この日も、会場となった東富士演習場には、抽選で選ばれた5000人以上の方が詰めかけていました。

演習の中では、日本の領土たる島が外敵から侵攻された場合を想定し、現地に部隊を配置してから領土を奪還するまでの作戦遂行の過程を再現。自衛隊員の勇敢かつ機敏な動きと、各種武器の命中精度に驚嘆の声が上がっていました。

他方で、こうした国家防衛のための活動には生命の危険と多額の費用を伴います。昨年度は、島を守るための水陸両用車(AAV)を11台配備するのに81億円、戦車よりも高速、高機能な16式機動戦闘車(MCV)を36両配備するのに271億円をかけています。

最近の国際情勢を考慮しつつも、やみくもに装備を増やすのではなく「わが国の平和と独立を守る」という自衛隊の使命に必要最小限かどうかを吟味すべきです。こうした観点から、北朝鮮の弾道ミサイルを撃ち落とすため防衛省が導入を検討している「イージス・アショア」には、費用だけでなく「わが国の平和と独立を守る」という面でも問題があります。

「イージス・アショア」は、イージス艦より高性能な迎撃ミサイルを陸上に配備するものです。1基で800億円、日本全体を守るには2基必要で周辺施設を含めると総額で2000億円を超える予算が必要と見られます。財政難の折、これだけの防衛予算を確保するために、社会保障など他の予算にしわ寄せが来ないかどうか、チェックする必要があります。

また、9日に北朝鮮司令官は、グアム周辺30~40kmの海域に向け、日本上空を通過する弾道ミサイルを発射する計画があると発表しました。将来、日本の「イージス・アショア」がグアムに向けられたミサイルも撃ち落としたならば、集団的自衛権の行使となります。

安倍政権では、日本の存立危機事態に限って集団的自衛権が行使可能だとされています。これ自体、憲法9条に反する解釈だというのが通説です。グアム周辺30~40kmの海域が着弾地点なら日本の存立危機事態にも当たりません。米国の要請によって迎撃すれば、明らかな憲法違反というだけでなく、北朝鮮から日本が報復される危険が高まります。

こうした危険をどう防ぐのか。そして、巨額の予算をどこから捻出するのか。次の臨時国会では、安倍首相をはじめ閣僚に対し、「丁寧な説明」を求めていきます。