16日、通常国会が事実上閉会しました。14日の深夜から15日の朝にかけては、参議院法務委員会での審議が終了していないにもかかわらず、本会議への「中間報告」という異例のやり方で「共謀罪」法案の強行採決が行われました。

そして、15日の午後には、「加計学園」間連文書に関する文科省の再調査結果が発表され、「総理のご意向」文書などが実在することが判明しました。同じ日の夕方には、内閣府の「天下り」調査結果が公表され、少なくとも12省庁で27件の再就職規制違反の疑いがあることが明らかになりました。

他にも「森友学園」の土地代値引きにつき会計検査院が、「南スーダンPKO」の日報隠ぺいにつき防衛観察本部が、それぞれ理由や違法性などを調査中。これほど多くの問題がうやむやにされたまま、国会が閉会されるのは前代未聞です。今国会で安倍政権は、政権にとって不都合な問題が起きる都度、以下の三つの方法で責任追及を逃れてきました。

情報隠ぺい~「森友学園」と財務省の土地売買の交渉に関する文書はすべて廃棄されたことにされ、文書のデータが保存されている可能性がある省内のパソコンまで廃棄されました。「南スーダンPKO」の日報や「加計学園」間連の文書も民進党などが追及しなければ闇に葬られていた可能性があります。

印象操作~実体は「共謀罪」なのに「テロ等準備罪」と言い換え、役所の文書を「怪文書」とレッテル張りをしました。また、文科省の前川前事務次官の人格攻撃をし、国連のカナタチ特別報告者を「個人の立場」と軽視することで、発言の印象を薄めようとしました。

言論弾圧~「森友学園」の籠池理事長が昭恵夫人から100万円を受け取ったと発言すると「総理への侮辱だ」として証人喚問を行い、「加計学園」間連文書を内部告発した職員には処分をほのめかすなど、権力への批判を許さない姿勢を示しました。

これら三つの方法の集大成が、「共謀罪」法案の強行採決と国会の早期幕引きです。国家権力が真実を明らかにせず、国民に間違った印象を植え付け、自由にものを言えない空気をつくるやり方がエスカレートしています。情報隠ぺい、印象操作、言論弾圧の「三本の毒矢」を放ち続ける安倍政権の存続は、民主主義の破壊を招きます。国会が終わっても、問題の幕引きは許しません。