31日、「政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」で質疑を行いました。いわゆる「区割り法案」によって、岩手県の衆議院小選挙区が一つ減り、選挙区の範囲も大きく変わるため、地元の代表として選挙を所管する総務大臣らに質問をしました。

今回の区割りでは、岩手2区からは盛岡市の旧玉山村だけが1区に移動しますが、岩手3区から一関市を除く全域が2区に編入されることになります。その結果、新しい岩手2区は、盛岡周辺から県北までの内陸部と県南から県北までのすべての沿岸部ということになり、青森県とほぼ同じ面積を有する本州最大の選挙区になります。

青森県自体、47都道府県の中で8番目に広く、岩手2区はほとんどの県より広くなります。また、新しい区割りの下で全国289の小選挙区を面積順に並べると、第5位の岩手2区の広さは、第186位の宮城2区より下の合計104の小選挙区の総面積に匹敵します。にもかかわらず、選挙費用への国の補助は他の小選挙区と大差ない水準です。任期6年で解散のない参議院と違い、任期4年で解散の多い衆議院では、広い面積をカバーできる経済力や人脈に恵まれた候補者か、選挙区内の誰もが知っている知名度の高い候補者でなければ、名前を知ってもらうことすら難しく、憲法で認められた「立候補の自由」の制約につながります。

さらに、今回岩手2区に編入される陸前高田市にある黄川田代議士の事務所を、内陸北部にある二戸市の有権者が訪ねようとすれば、移動時間は片道で優に3時間はかかります。二戸市は新幹線の駅もあるため、東京の議員会館を訪ねた方が早いわけです。有権者と地元議員との「距離」が遠すぎて、地元の声が伝わりにくくなってしまいます。憲法は選挙権の平等を求めています。これを理由に一票の格差が是正されてきましたが、選挙権の平等を考えるときに、有権者の候補者へのアクセス(接触)の機会の平等も併せて考えるべきです。

私は、今後人口減少と過疎化により都市部と地方部の人口格差が広がるため、これまでの考え方を続ければ、地方の選挙区の面積拡大と議席減少により都市部の声だけが優先される「シティ民主主義」になりかねないと指摘し、小選挙区の面積の格差が過度にならない仕組みを検討すべきではないかと質しました。

高市総務大臣は、「最高裁の判決に照らすとなかなか困難だ」と答弁しましたが、大臣自身は判決を誤解していました。判決の多数意見は、選挙区を定めるに当たって、地域の面積なども考慮しつつ、「国政遂行の民意の的確な反映を実現するとともに、投票価値の平等を確保するという要請との調和を図る」べきだと明確に述べています。人口減少に歯止めをかけるためにも、地方の声がきちんと国政に反映できる選挙制度を考えていきたいと思います。