行政文書は国民の税金で作られた国民共有の財産です。行政文書について、黒塗りにして意味不明なものを公表したり、本当は存在するものを存在しないことにしたり、保管しておくべきものを廃棄したりするのは、政府の国民に対する背信的行為です。

これらのいずれかの方法により、甘利前大臣の口利き、TPP参加国との交渉、南スーダンPKOの情勢、森友学園との土地売買など、昨年来、国民の関心が高い問題に関わる行政文書が闇に葬られてきました。加えて17日には、「加計学園」の獣医学部新設の検討状況に関して文科省内で作成したと見られる文書につき、菅官房長官が「怪文書」扱いしたのです。この文書には「総理のご意向」などと書かれていました。

もし文書が本物なら、首相の親友が理事長を務める同学園のため、安倍首相など官邸の人物が文科省に働きかけていたように読めます。25日には、前川前文科事務次官が「在籍中に共有していた文書で確実に存在していた」と記者会見で明言。それでも菅官房長官は「地位に恋々としがみついていた」などと前川氏を批判し、いまだに文書が本物だと認めません。

文科省での調査結果は、「文書の存在は確認できなかった」と微妙な言い回しでした。松野文科大臣は「再調査の必要はない」と国会で答弁しましたが、「文書は存在しない」と言えないのなら再調査すべきです。このような不誠実な答弁がまかり通るのは、なぜでしょうか。

松野大臣によると、「行政文書は(専用)フォルダーなどに入っていて、そこには存在しなかった」とのことです。個人のパソコンや紙ファイルなどは調べていません。個人が保管している文書は「行政機関の職員が組織的に用いる」ものではないので、行政文書には当たらないという解釈のようです。

民進党では、こうした言い逃れを許さないため、行政文書の要件や保管方法を定める公文書管理法の改正案を策定中です。私も作業に加わりましたが、「加計」問題のように個人保管の文書が調査対象外とならないよう、「行政機関の職員が組織的に用いる」という行政文書の要件を削除します。また「森友」問題のように役所が保存期間を短くして勝手に廃棄しないよう、行政文書の厳格な保管と廃棄の手続きを定めます。政府側に不都合な情報がこれ以上隠蔽されないよう、速やかに国会に提出し、成立を目指したいと思います。

それにしても、安倍政権は、文書の存在を認めないばかりか、前川氏の証人喚問にすら応じません。なりふり構わず疑惑の火消しに努める安倍首相や菅官房長官の方こそ、「地位に恋々としがみついて」いるように見えます。