国会の本会議において、議員が列をなして順次演壇に上がり、各議員が自分の投票札を示して法案等の賛否に投票することを「堂々巡り」といいます。23日、「共謀罪」を創設する組織犯罪処罰法改正案について、衆議院本会議で堂々巡りが行われました。

振り返ると「共謀罪」法案については、法務委員会で約30時間審議が行われ、私も5回にわたり合計2時間43分質疑を行いました。しかし、金田大臣をはじめ政府側の答弁は、ほとんどが的外れで時間を浪費するものであったため、法案審議も「堂々巡り」。結論が出るまで何度も同じ質問を繰り返さなくてはならなかったり、ようやく出た結論は当初の説明と食い違っていたりで、中身のある審議は30時間のうち2、3割だったと思います。

私が質問した中では、

①金田大臣は「テロ等準備罪」は過去3回廃案になった「共謀罪」と違い、「組織的犯罪集団」にしか犯罪は成立しないと強調していたが、「組織的犯罪集団」という文言がなくても犯罪が成立する主体は変わらないこと、

②金田大臣は「テロ等準備罪」は「共謀罪」と違い、犯罪の合意(共謀)だけでなく準備行為があってはじめて成立するので処罰範囲が絞られていると説明していたが、準備行為がなくても捜査はできること、

③国際組織犯罪防止条約(TOC条約)に加盟するには犯罪の合意を処罰しなくてはならないので、準備行為を加えたといっても実質は従来の共謀罪と変わらないこと、

などが何度も質問を繰り返した結果、ようやく明らかになりました。

結局、政府の売り文句であった「テロ等準備罪は共謀罪とまったく違う」という説明自体が破たんしたわけです。従来の「共謀罪」の看板を付け替えただけの出し直しということであれば、法案それ自体も「堂々巡り」だと言わざるを得ません。

問題山積で審議不十分であるにもかかわらず、与党は19日に法務委員会で「共謀罪」法案の強行採決を行いました。しかも、部外者である維新の党の議員に審議打ち切りを宣言させるなど、なりふり構わずのやり方でした。

委員会でこれほどの暴走があれば、本会議は欠席して抗議の意思を示すのが通例です。しかし、「堂々巡り」の審議と「堂々巡り」の法案に対し、今回は党一丸となって堂々巡りで反対の意思を示しました。数の力により「共謀罪」法案は衆議院を通過しましたが、堂々巡りによって、誰が賛成票を投じたかは明確に記録されました。参議院に審議が移っても、政府与党の「堂々巡り」を許さず、自由と安全の両立を図る民進党のテロ対策を主張します。