スポーツは「筋書きのないドラマ」と言われます。一流の脚本家でも描けないような、あっと驚く結末が私たちを魅了するからです。最近では、何といっても大相撲春場所の横綱稀勢の里の戦いがこれに当たるでしょう。26日の千秋楽は、左腕に全治1か月の重傷を負い、優勝するには絶好調の大関照の富士に2連勝しなくてはならないという絶体絶命のピンチでした。それでもあきらめずに土俵際で粘り、奇跡的な2連勝で逆転優勝。信じられない展開に誰もが驚き、感動しました。

対照的に、連日国会で取り上げられている森友学園の問題は、いまだ結末が見えません。自民党は、23日の証人喚問での証言がうそだとして、籠池氏を偽証罪で告発したいようです。また、問題の国有地払い下げの交渉に関わった財務官僚、そして籠池夫妻と親交があった安倍昭恵夫人やその付き人の官僚は証人喚問に応じず、疑惑の解明が一向に進みません。

与党や一部のマスコミは、この問題を国会で取り上げ続ける野党に批判の矛先を向けますが、この「泥沼」はなぜ生まれたのでしょうか?28日に民進党の政調会長代理として出演した「プライムニュース」という番組でも森友学園問題が取り上げられ、疑惑解明のため、私は以下の指摘や提案をしました。

①国有地の払い下げ価格を算定する際、ゴミの撤去費用8億円の割引は役所の中で簡易迅速に算定された。その理由として、財務省は算定を急がないと小学校の開校が遅れて損害賠償訴訟を起こされる危険があると説明した。一方で財務省と籠池氏側の交渉記録は廃棄したとするが、訴訟の危険があるなら当然財務省が保管しているはずだ。

②証人喚問において、籠池氏はうそを言えば罪になることを承知していた。にもかかわらず、昭恵夫人から直接100万円受け取ったと証言し、その価値は高い。これがうそだと言うのなら、昭恵夫人も証人喚問の場で反論するか、籠池氏を訴えて公開法廷で昭恵夫人が自らの潔癖を証明すればよい。

③自民党によれば、籠池氏は、昭恵夫人の付き人の官僚に対し、昭恵夫人の口利きなしに直接国有地に関する要望を書いた手紙を送り、その回答を得たことになっている。そうであるなら、その手紙の現物を野党にも示すべきだ。

しかしながら、安倍政権はこのような指摘や提案にまったく応えることなく、疑惑を泥沼化させることで、問題をうやむやにしようとしています。この泥沼は、安倍政権の狙い通りの「筋書きのある泥沼」だと思います。野党第一党の責任として、民進党は、泥沼を避けることなく、真実の究明をあきらめずに続けていく必要があります。その意味でも、逆境をあきらめずに乗り越えた稀勢の里の姿勢に学びたいと思います。