20日、第193回通常国会が始まりました。開会式では、天皇陛下のおことばを頂戴しました。党派を超え、衆参両議員が神妙に耳を傾ける中、天皇陛下の一言一句が議場に染み入るようでした。一方、その直後に行われた安倍首相の施政方針演説は、実績の誇張と野党の批判に明け暮れる異常なものでした。長期政権を目指すとは思えぬ度量の狭い演説に議場は度々騒然となりましたが、天皇陛下のおかげで国政の分断が避けられています。

同じ日の深夜に行われた米国のトランプ大統領の就任式は、さらに異常でした。野党である民主党の議員が60人以上欠席し、一般聴衆のほとんどは白人、会場周辺では大規模な反トランプ・デモが行われました。「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ新大統領ですが、彼がいう「アメリカ」は一部の国民、一部の地域を指すに過ぎないようです。大統領選挙が終わっても、米国民の間の分断が続いています。また、米国には天皇陛下のような存在がなく、国民を統合する術もありません。

改めて憲法を見ると、第1条では、天皇陛下を「日本国の象徴」とするだけでなく、「日本国民統合の象徴」と定めています。現在の天皇陛下は、「国民統合の象徴」としての役割を存分に発揮されてきました。国会でのおことばだけでなく、先の大戦の激戦地や東日本大震災の被災地を何度も訪ね、国政での風化を心配する遺族や被災者に寄り添うことで、国民の一体感を守ってこられました。

今国会では、天皇陛下の退位が大きなテーマになります。「国民統合の象徴」としての任務の大きさやご負担を考えると退位は認めるべきです。その上で、民進党としては、皇室典範を改正し、皇室会議が退位の理由ありと認め、継承者の準備が整っていることを前提に、陛下のご意思に基づいて退位を認める一般的なルールを設けることを提唱しています。

政府与党には、現在の天皇陛下に限って生前退位を認める特例法を設けるという見解もあるようですが、「皇位は、・・・皇室典範の定めるところにより、これを継承する」と定める憲法2条に反します。そして、天皇陛下ごとに生前退位を認めるかどうかを判断するというやり方では、時の政権の意向が影響することになります。天皇陛下を選挙や政治と切り離すことで守られてきた「国民統合の象徴」としての地位が危うくなりかねません。

米国を反面教師として、「国民統合の象徴」たる天皇陛下の地位を将来にわたり守っていくべきです。そのためにも、民進党が唱える皇室典範の改正案を成立させる必要があると思います。今国会は、政治が結果を出す「政」果主義をモットーに頑張ります。引き続き、ご指導ご鞭撻を宜しくお願いいたします。